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ひとり親とこどもの養育支援

「自己責任」では補えないひとり親の現状

離婚をテーマに弁護士に寄せられる相談は、いまや最も多い分野だと言われます。

厚生労働省の人口動態統計では、令和5年の離婚件数は18万7,798組。

筑紫野市でも、令和5年度の婚姻件数350件に対し、離婚件数は142件──およそ3組に1組が離婚している計算です。

離婚理由を男女別に見ると、「性格が合わない」が圧倒的多数。

一方で女性側では、

  • 暴力

  • モラハラ

  • 生活費を渡さない

といった理由の割合が高くなります(グラフ参照)。

つまり、日本社会では「離婚=わがまま」ではなく、経済的・精神的な切迫の末の選択であるケースが少なくありません。

それでも、離婚後の日本の制度は、

当事者、とくにこどもとひとり親側に過剰な負担を押しつけているのが現実です。

1)ひとり親家庭の「見えない苦しさ」

国の調査では、ひとり親家庭の子どもの約2人に1人が相対的貧困とされています。

とくにシングルマザー世帯は、父子世帯に比べて年収が約180万円低いというデータもあります。

筑紫野市でも、ひとり親医療証の交付世帯は令和5年度で725世帯。

子ども食堂の現場からは、

  • 休日に十分な食事がとれない

  • きょうだいの世話や家事を担うヤングケアラー

といった子どもたちの姿が、たびたび聞こえてきます。

それでも、市として「ひとり親の生活実態」が十分に把握されているとは言えません。

だから私は、

児童扶養手当の申請時などに、生活状況アンケートを実施し、

市としてひとり親家庭の実態を把握するべきだ

と昨年一般質問(令和6年6月議会)で求めました。

2)児童手当・児童扶養手当の「お金の流れ」を子ども基準に

今の制度では、児童手当・児童扶養手当は2カ月に1回支給が基本です。

しかし、家計は「毎月」やりくりしています。家賃も光熱費も、待ってはくれません。

そこで私は、

  • 児童手当・児童扶養手当を毎月支給できる仕組み

  • 明石市のように、「支給のない月に無利子で立て替え→支給月に自動清算」する方式

の導入を提案しました。

ICT化や公金受取口座制度が整ってきた今、事務負担を抑えながら実現できるはずだと考えています。

さらに大きな問題が、「誰の口座に振り込まれるか」です。

今の運用では、

  • 所得の高い方=多くの場合は父親側の口座に児童手当が振り込まれる

  • 別居・離婚協議が始まっても、長期間そのままになりがち

というケースが少なくありません。

手続きには

  • 離婚調停呼出状

  • 弁護士による通知書

  • DV保護命令や婦人相談所の証明

など、被害者にとって重すぎるハードルが並びます。

この手続きがサクッとできる状況なら、その前に離婚できているはずです。

だから私は、

児童手当は原則こどもの名義口座、

それが難しい場合も、両親の合意のもと主として養育する者の口座を受給先とする

という運用への見直しを求めました。

こども家庭庁も、家庭の実態に合わせた柔軟な運用を認める回答を出しています。

「所得の高い方」ではなく、「こどもと一緒に暮らしている方」を基準にすべきだと考えます。

3)離婚後も「チルドレン・ファースト」で

国会では、共同親権の議論が進んでいます。

賛否が大きく分かれているのは、DVや虐待が続くのではないかという不安があるからです。

私は、共同親権の制度の是非より前に、

  • 離婚時に養育計画・合意書の作成を当たり前にすること

  • 面会交流を「親の権利」ではなく、こどもの権利としてサポートすること

が必要だと考えています。

現状では、

  • 親権争いのために「連れ去り」が起きる

  • 面会交流を「有利な条件を引き出すカード」として扱う

  • 養育費の不払いが常態化し、8割近くが受け取れていない

という、こどもにとっては理不尽な状況が放置されています。

離婚の原因が何であれ、

こどもには安全な生活と、安定した養育を受ける権利がある。

だから私は、

  • 離婚後の養育計画や合意書作成の支援

  • 面会交流を行政が仲介・調整する仕組み

  • DVや虐待の疑いがあれば、面会交流を無理にすすめない安全基準

を整えるよう、一般質問で求めました。

とくに明石市のように、10年以上前から面会交流支援に取り組み、

170以上の自治体が同様の仕組みを導入している事実は、筑紫野市でも活かせるはずです。

4)「払わなくてもいい」養育費を終わらせる

日本では、裁判所で養育費が決まっても支払われないケースが非常に多く、

取り立てには、さらに弁護士費用や手続きの負担がのしかかります。

一方、アメリカでは

  • 養育費の徴収を行う公的機関があり

  • 銀行口座の差押え、免許・パスポートの制限

  • 遅延には利息

など、「払わない」という選択肢がほぼ存在しない仕組みになっています。

日本でも、群馬県が2024年度から

  • 養育費の差押えにかかる弁護士費用を上限10万円まで補助

する制度を創設しました。

私は筑紫野市でも、

  1. 養育費の強制執行にかかる弁護士費用の助成

  2. ひとり親の養育費確保を支援する市独自の制度や条例

を検討するよう求めています。

養育費は「こどもの権利」であり、

払わないことは、実質的にはこどもへの経済的ネグレクトです。

悪質な不払いについては、保護責任者遺棄罪に匹敵する社会的なペナルティが必要だと考えます。

5)自立支援と「働ける環境」をセットで

「働いていないから貧困なのでは?」と誤解されがちですが、

多くのひとり親は、最低限の生活を守るために必死で働いています。

それでも貧困に陥りやすいのは、

  • パート・アルバイトが中心で、賃金が低く不安定

  • 有給やボーナスがない

  • 子どもの病気で休みがちになることで、正規雇用につきにくい

という構造があるからです。

そこで私は、

  • 介護士・看護師・保育士などの資格を新規取得するひとり親に対する市独自の奨励金

  • 母子父子寡婦福祉資金貸付の周知徹底と保証人要件の緩和を県に働きかけること

  • 送迎付きの病児保育事業の導入(保育園から病児保育への送迎と一時預かり)

  • ひとり親を積極的に雇用する企業への補助金やSDGs認証のような見える化

などを提案しました。

ひとり親の就労支援は、

「働け」という号令だけでなく、

“働ける環境”をセットで整えること

が筋だと思っています。

6)DVを「逃げるだけ」で終わらせない

最後に、ドメスティック・バイオレンス(DV)の問題です。

日本の支援は、

  • 被害者と子どもを「逃がす」こと

  • 一時的なシェルターや保護

に偏りがちで、加害者側の更生プログラムはほとんど整っていません。

私は一般質問で、

  • DV相談件数や市の支援体制の現状

  • DV加害者向けの更生プログラム導入

を求めました。

暴力の連鎖を断ち切るには、

被害者を守ると同時に、

加害行為をやめさせる仕組みが必要です。

いじめの現場でも「悪いのは被害者ではなく加害者」と言われるように、

DVも「逃げろ」だけでは根本解決になりません。

チルドレン・ファーストを本物にするために

共同親権をめぐる議論が進むなか、

賛成・反対、どちらの立場にも「子どもを守りたい」という願いがあります。

私は、そのスタートラインに、

養育費をきちんと支払うこと

子どもが「会いたい」と思えば会える環境をつくること

会いたくないなら、その気持ちを尊重すること

があると思っています。

ひとり親やシングルマザーを「自己責任」で語るのではなく、

子どもの権利を守るために社会がどれだけ本気になれるか。

その問いを、これからも議会で、市民のみなさんと一緒に投げかけていきたいと思います。

© 2023 春口あかね