活動履歴
📕 助け合いを忘れた社会に未来はあるか——円安・物価高と自己責任論の罠
円安の進行と物価高騰が続く中、日本社会はかつてない変化に直面している。高齢化が加速し、社会保障のバランスは崩れつつあり、実質賃金の上昇が伴わないまま物価だけが上昇する「スタグフレーション」という状態に陥っている。これは、経済が停滞したまま物価が上がる「悪い物価高」であり、国民の生活に深刻な影響を及ぼしている。
こうした状況下では、将来への不安が広がり、人々の心に余裕がなくなる。その結果、「誰かが悪い」といった責任の押し付けが生まれ、社会的に弱い立場の人々が攻撃の対象になることがある。
例えば、あるシングルマザーのInstagramの投稿に「ひとり親は優遇されている。共働きだって大変なんだ」「離婚したのは自分の責任では?」といったコメントが寄せられたという。「自己責任」という言葉はよく使われるが、果たして全ての問題が自己責任で片付けられるのだろうか?
もし本当に「自己責任」で生きるべきだというならば、その人は誰の助けも借りず、自給自足で生活し、公共インフラの整備も自ら行うのだろうか?事故や病気で働けなくなっても、「支援はいらない」と言い切れるのだろうか?高齢になっても年金や医療を一切利用せず、誰の世話にもならずに生きていけるのか?
確かに共働き世帯も大変だ。仕事と育児・家事の両立、長時間労働、保育園の送迎、ワンオペ育児、家事分担の難しさ——その負担は計り知れない。しかし、ひとり親家庭の場合、その「大変さ」をすべて一人で背負わなければならないのが現実である。
フルタイムで働いて月収25万円あったとしても、共働き世帯には到底及ばない。収入面でも、家事・育児の負担面でも、ひとり親は圧倒的に不利な状況に置かれている。
📕社会のセーフティネットは「不要」なのか?
自己責任論を突き詰めると、「社会のセーフティネットは不要」という極端な結論に行き着く。しかし、現実には誰もが支え合いながら生きている。道路や水道、医療、教育、年金——私たちの生活はすべて『税金』によって支えられ、社会全体の協力なしには成り立たない。ひとり親家庭への支援も、その一環であり「優遇」ではなく「社会が最低限の公平さを保つための制度」である。
そもそも、ひとり親になった背景は人それぞれであり、好き好んで離婚したわけではない。一概に「自己責任」と決めつけるのはあまりに乱暴ではないだろうか。
現在、ひとり親家庭の2組に1組が貧困に直面している。しかし、支援制度は決して十分とは言えない。児童扶養手当には厳しい所得制限があり、わずかに基準を超えただけで支援が打ち切られる。フルタイムで働くほど生活支援を受けられなくなり、ひとり親が自立を目指すほど逆に貧困から抜け出しにくくなる——これが「年収の壁」の問題である。
📕「再スタートできる社会」をつくる
自己責任論によって支援を切り捨てるのではなく、「すべての人が再スタートできる社会」をつくることが求められている。日本は今後、高齢化が進み、労働人口が減少していく。それにもかかわらず、ひとり親や困窮世帯の子どもが教育を受けられず、十分な収入を得られない社会になればどうなるのか?
結果として
✅ 貧困の連鎖が続き、格差が固定化する
✅ 社会保障費が増加し、若年層の負担がさらに重くなる
✅ 経済成長が停滞し、税収が減少する
これは、ひとり親家庭だけの問題ではなく、社会全体の問題である。だからこそ、「助け合う仕組み」を作ることが重要であり、自己責任論によって切り捨てるべきではない。
今、多くの人が「良くなる」という希望を持てずにいる。物価が上がり、貯金は目減りし、教育費の負担も重い。だからこそ、私たちは「誰のせいか」ではなく「どうすればいいか」を考えるべきではないだろうか?
📕政治がすべきこと
私が政治家として目指すのは「すべての人が再チャレンジできる社会」だ。「ひとり親だから」「共働きだから」「子育て世代だから」「高齢だから」と分断するのではなく、誰もが安心して暮らせる環境をつくることが重要である。
具体的な政策としては
•支援額を所得に応じて逓減させる仕組みを導入し、急激な支援打ち切りをなくす
•制度を簡素化し、一旦は全員に支給し、後で増税(再分配)で調整する仕組みを検討する
•働き方改革、育児支援の強化、教育費の負担軽減を進め、子どもが未来を諦めない社会をつくる
財源についても、次のようなアプローチを取るべきだ。
•既存予算の組み替え: 防衛費などの増額分を見直し、「人への投資」にシフトする
•税制改革: 高所得者への増税、金融所得課税の強化、企業の内部留保への課税
•教育国債の発行: 教育は将来世代への投資であり、国債発行を一定容認する
人的資本への投資は、長期的に見れば「支出額の2倍以上のリターン」をもたらすとの国内研究もある。例えば、国立教育政策研究所の試算では、高等教育への公的投資により、大卒者一人あたり2.4倍の財政効果(税収増・社会的コスト削減)が見込まれる。
教育無償化による高学歴人材の増加は、国の経済成長率向上にもつながる。
また、児童扶養手当の拡充により、ひとり親の就労拡大や納税額増加、生活保護費の削減効果も期待できる。
📕次世代のために、助け合う社会を
「私たちが助け合うことで、次の世代が安心して生きられる社会をつくる」——そうした視点こそが、今求められている。自己責任論で支援を切り捨てるのではなく、すべての人が再チャレンジできる社会を築くこと。それが、未来を生きる子どもたちのために、私たちが果たすべき責任ではないだろうか。
春口あかね
