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土砂災害が多い日本
森林が地盤に及ぼす影響
夏になると、全国で大雨や崖崩れといった災害が多発します。
この原因には、さまざまな森林が地盤に及ぼす影響が関与しています。原因を以下にまとめてみました。
雑木林の保水力
日本の中低山にもともと生えている雑木林である、カシ、ナラ、シイ、クヌギは、落葉が堆積することで土壌の上に腐葉土が盛られます。結果、腐葉土が豊富な水を蓄えることができます。
その腐葉土が長い年月にわたって山肌に堆積していくことで、雑木の生えた山の斜面は分厚いスポンジに覆われたような状態になるため、天然のダムとなって降り注いだ雨を保水することができます。
根は、「下」に深くに伸びていく性質があるため、地盤の奥深くまで木の根が張り巡らされた状態になります。
結果、少々の大雨や地震が起きても崖崩れや地滑りが発生することはないと考えます。
竹林と土砂崩れのリスク
竹の地下茎は網目のように密に広がるので地表面の土を留めておく事は可能です。
しかし土を留めておけるのは30cm程度なので、例斜面に竹林がある場合などは、土砂崩れの際、竹薮ごとごっそり崩れてしまう可能性が高いと考えています。
スギとヒノキの人工林の弱点
スギやヒノキなどの針葉樹は保水力はありません。
針葉樹は、根が「横」に広がって行く性質がありますので、スギやヒノキなどの人工林の山は、極端に言うと山の岩盤の上に木を置いているだけのような状態になります。
そのため、人工林では広葉樹の天然林と比較して地盤が極めて脆弱になり、大雨などでがけ崩れや地滑りが発生しやすくなります。
今回起こった土砂災害も、現場はほぼスギやヒノキや竹が植えられている人工林です。
以上のように、スギやヒノキの山は保水力がなく、地盤も弱くなるため、大雨に対する抵抗力はほぼゼロです。
そのため、スギやヒノキを植えた山の面積が広くなればなるほど、その山を源流とする川は氾濫のリスクが高くなると言えます。
久留米市のホームページによると、74%が人工林でした。
歴史的背景と提案
スギやヒノキは”自然”ではなく、戦前カシやナラ、クヌギやシイといったさまざまな雑木が混在した多様な植物の広がる豊かな”自然”が広がっていました。
太平洋戦争中、戦況が悪化するにつれ燃料不足が深刻化した日本では薪を燃料にしたり、木炭を燃料にした木炭車が使われたりということが全国で行われるようになったそう。
その結果、日本中の山々で薪炭材確保のため雑木林が伐採され、終戦後の日本の多くの里山は木々がほとんどないような丸坊主の状態になったのです。
そして、戦後復興の一環として「植えよ増やせよ」のスローガンのもと、日本中の丸坊主となった山という山にスギやヒノキの苗木が植えられました。
資源のなかった日本が、スギやヒノキを大量に植林し、復興のための建材確保や輸出による外貨を獲得するのが目的でした。
現在といえば、所有者や境界が分からない森林の増加、担い手の不足等が大きな課題となっています。
災害の被害を少なくするには、少しでも自然林(天然林)に戻していくことで根本的改善になり、広葉樹のほうが木の実などがなるため、鳥獣も食べ物に困らずむやみに殺されなくて済むのではと思うのです。