活動履歴
文教福祉常任委員会(令和7年12月11日)まとめ
1. 議案審査の概要
今回の委員会で扱われたテーマは、子育て・教育・福祉・スポーツと、どれも日々の市民生活に直結するものばかりでした。
「使える場所が有料になるかもしれない」「子どもの居場所は守られるのか」「困ったとき、誰が支えてくれるのか」
そんな疑問にどう向き合ったのかが、この委員会の大きなポイントです。
(1)子ども・保育分野
■ 議案第64号・第65号
保育所等職員による虐待に関する通報義務の明確化
- 児童福祉法改正を受けた条例改正。
- 保育所・認定こども園等の職員による虐待が疑われる場合の通報義務を明文化。
- 子どもの安全確保を最優先とする趣旨。
- 全会一致で可決。
■ 議案第66号
「こども誰でも通園制度」に関する条例制定
- 保育所等に通っていない0~2歳児が、月10時間まで通園できる新制度。
- 保育士不足や子どもの安全確保への懸念が議論に。
- 利用者支援として意義がある一方、制度設計の課題も指摘。
- 賛成多数で可決。
■ 議案第67号
放課後児童健全育成事業条例の文言整理
- 法改正に伴う条文整理のみで、制度内容の変更はなし。
- 全会一致で可決。
(2)スポーツ・文化分野
■ 議案第68号
体育奨励基金条例の廃止
- 昭和53年設置の基金が枯渇したため条例を廃止。
- 今後の全国大会出場等への助成は一般会計で継続。
- 助成額(現行上限2万円)の妥当性や物価高騰への対応が課題として指摘。
- 全会一致で可決。
■ 議案第69号
市立学校体育施設の有料化(※否決)
この議案は、
- 小・中学校の体育館やグラウンドを
- 社会体育団体が使う際に
- 新たに使用料を徴収する
という内容でした。
なぜ出されたのか
- 他のスポーツ施設が有料なのに、学校施設は無料で「不公平」
- 電気代などを学校管理費(=教育費)で負担している
- 外部評価委員会から「有料化検討」の提言があった
しかし委員会では、強い疑問が相次ぎました。
- 生涯スポーツ推進と矛盾しないか
- 子ども・地域・保護者の活動が縮小しないか
- 市民が気軽に使える場所が減るのではないか
- いきなり近隣市でも最高水準の金額は高すぎないか
特に、
「学校は地域の公共財。子どもや市民の居場所を、料金で狭めていいのか」
という点が大きな争点となりました。
その結果、反対多数で否決。
学校体育施設は、これまで通り「市民が使える場所」として守られることになりました。
2. 所管事務報告・調査の主な内容
(1)いじめ・不登校対策(学校教育課)
この報告は、「子どもが学校に行けなくなったとき、市は何ができているのか」を知るうえで、とても重要な内容でした。
- 「いじめゼロ」から「いじめ見逃しゼロ」への転換。
- 認知件数は増加しているが、重大事態は減少傾向。
- 不登校は全国同様に増加傾向。特に小学生で顕著。
- 完全不登校より「週数日登校」の層が増加。
- 教育支援センター(旧適応指導教室)や自然体験活動など、多様な支援を展開。
(2)重層的支援体制整備事業(生活福祉課)
これは、
- 高齢者
- 障がい
- 子ども
- 生活困窮
といった分野ごとに分断されがちな支援を「つなぐ」取り組みです。
「どこに相談していいか分からない」「たらい回しにされた」――
そんな声を減らすための仕組みづくりが進められています。
- 8050問題など複合的課題に対応する包括支援体制。
- 高齢者・障がい者・子ども・生活困窮の既存窓口を入口とし、断らない支援を実施。
- 多機関協働会議により、個別ケースと社会資源開発の両面を支援。
- 令和8年度の本格実施を目標に準備中。
(3)生理用品の学校設置状況(教育政策課)
- 基本は保健室対応。
- 女子トイレ設置は小学校3校/11校、中学校4校/5校。
- 「保健室での対話重視」派と「誰でも取りやすい環境」派の考え方の違いが議論に。
- ジェンダー平等や子どもの安心感の観点から、今後の検討課題として共有。
(4)日本遺産「西の都」(文化財課)
- 日本遺産認定から候補地域へ移行。
- 再認定に向け、構成文化財や推進体制の見直しが課題。
- 県主導のもと、地域主体の魅力発信を継続する方針。
3. この委員会を通して感じたこと
私自身、この文教福祉常任委員会を通して強く感じたのは、
「制度や公平性の議論は大切だけれど、
その先にいる“人の暮らし”が置き去りにされてはいけない」
ということでした。
学校体育施設の有料化、子どもの通園制度、いじめや不登校、福祉の重層的支援。
どれも一見すると制度の話に見えますが、
- 放課後に子どもが体を動かせる場所があるか
- 困ったとき、誰かに相談できるか
- 学校で安心して過ごせるか
といった、日々の安心に直結するテーマです。
だからこそ私は、
「数字や前例」だけでなく、
「今、そこで生活している人の姿」を思い浮かべながら、
議論を重ねることが大切だと改めて感じました。
4. 生理用品の設置をめぐる議論――
「管理」か「安心」か、学校現場で揺れているもの
今回の委員会では、小中学校における生理用品の設置状況についても詳しい報告と議論がありました。
現状はどうなっているのか
- 小学校:11校中3校が女子トイレに設置
- 中学校:5校中4校が女子トイレに設置
- いずれも基本は「保健室での対応」が原則
学校側からは、
- 養護教諭が手渡しすることで、体や成長の悩みに寄り添える
- 家庭の困りごとに気づくきっかけになる
という意義が説明されました。
一方で、委員からは、
- 「保健室に行くこと自体がハードルになる子もいる」
- 「周期が安定しない小学生にとって、急な場面は特につらい」
- 「学校ごとに対応が違うのは不公平ではないか」
といった声が出されました。
ジェンダー平等の視点から
休憩中のやり取りでは、
文部科学省の学習指導要領(生徒指導提要)や、
ジェンダー平等の考え方と、学校現場の対応はどう整合しているのか
という点も話題になりました。
現在の生徒指導提要では、
- 児童生徒一人ひとりの尊厳
- 安心して学校生活を送れる環境づくり
- 性別による不利益が生じない配慮
が重視されています。
その観点に立てば、
「困ったときに、誰にも知られずに必要なものを手に取れる環境」
もまた、子どもの尊厳や安心に関わる要素だと私は感じています。
私の考え
生理用品を
- 「管理のしやすさ」だけで考えるのか
- 「子どもが安心できる環境」という視点で考えるのか
ここには、学校現場の葛藤があることも事実です。
ただ、
- 学校によって対応が違う現状
- 子ども自身が声を上げにくいテーマであること
を踏まえると、
今後は教育委員会として、
ジェンダー平等の視点を踏まえた共通の考え方を整理し、
学校現場と丁寧に共有していく必要がある
と感じました。
これは「誰かを責める」話ではなく、
子どもが安心して学べる環境を、
大人がどう支えていくか
という問いだと思っています。
5. 全体を通して
今回の委員会では、
- 公平性と公共性
- 管理と安心
- 制度と現場
その間で、何を優先するのかが何度も問われました。
福祉も教育も、
「正解が一つ」の分野ではありません。
だからこそ私は、
- 立ち止まって考えること
- 声にならない声を想像すること
- 必要であれば制度を見直すこと
を、これからも大切にしていきたいと思っています。
今回の委員会を通じて、改めて浮かび上がったのは、
- 市民の負担をどう考えるか
- 子どもや地域の居場所をどう守るか
- 公平性と公共性をどう両立させるか
という問いでした。
特に、学校体育施設の有料化が否決されたことは、
「効率」や「公平」だけでなく、
市民の暮らしの中で、その場所が果たしてきた役割
を大切にする判断だったと感じています。
福祉も教育も、制度だけでは完結しません。
- 実際に困っている人がいること
- その声が届く場があること
- 立ち止まって考え直せる議会であること
これらをどう積み重ねていくかが、これからも問われていきます。
今回の委員会では、
- 子どもの安全・権利保障
- 地域スポーツ・生涯学習のあり方
- 福祉の重層的支援と現場負担
といったテーマで、理念と現実のバランスを問う議論が多く交わされました。
特に「学校体育施設の有料化」が否決されたことは、
- 教育・地域・スポーツをどう公共として守るか
という根本的な問いを突きつける結果となりました。
今後は、
- 市民負担を増やさずに公平性をどう確保するか
- 子ども・若者の活動をどう支えるか
- 福祉・教育の現場を疲弊させない制度設計
が引き続き問われていくことになります。